表題番号:2022C-267
日付:2023/04/05
研究課題言語行動における談話管理のストラテジーに関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 日本語教育研究センター | 講師 | 吉田 好美 |
- 研究成果概要
本研究課題では、2021年度「SNSの非対面コミュニケーションにおける言語行動の実態解明」と2019年度「非対面/対面コミュニケーションにおける言語行動に関する研究」の継続課題の実施を行った。
2019年度には、断りの談話における代案の機能について分析し、その研究成果を口頭発表したが、コロナ禍で分析の継続が困難な状況になった。本研究課題ではデータを増やして再分析を行った。その結果、日本語の断りの曖昧性や、直接性の回避、働きかけ手への配慮というストラテジーはLINEなどの非対面場面では変化していくことが示唆された。研究成果は「断りにおける代案のストラテジーに関する研究‐対面と非対面(LINE)のロールプレイの比較から‐」として論文化した。
2021年度には、断り手が使用する謝罪と謝罪に付随するストラテジーについて特徴を明らかにした。その結果、対面では「繰り返し」と「フィラー」が、非対面では顔文字やスタンプなどが謝罪に付随して人間関係維持の役割をしていることが分かり、非対面の断りにおいて、謝罪表出の様相が変化してきていることが示唆された。2022年度には言語面に関する分析を精緻化することに努めたが、なぜ謝罪の行為(発話)をするのか、相手はどのように受け止めると考えたのかといった心理的な側面に言及できず、考察が深められなかったので今後の課題となった。研究成果は「断りにおける謝罪のストラテジーに関する一考察 ―対面と非対面(LINE)の比較—」 として論文化した。