表題番号:2022C-212
日付:2024/06/18
研究課題社会的孤立・孤独の予防・防止のための情報情報共有システムに関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 扇原 淳 |
- 研究成果概要
ICTの利活用による社会のDX化が,世界共通の課題であるSDGsの実現に重要な役割を果たすと期待されている.ICTがもたらす自動化やオンライン化は,外出やコミュニケーションに困難を抱える障害のある人や高齢者をはじめ,すべての人に役立つ.一方,日本政府は,2021年2月に孤独・孤立対策担当相を新設し,内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置するなど,深刻化する社会的孤立・孤独対応について「経済財政運営と改革の基本方針2021」(2021年6月)の中で具体的な方策を盛り込んだもののいずれも網羅的であり,ICT利活用との関係については不明確なままとなっている.
この問題解決のためには,高齢者・障害者に配慮したICTのインタフェースの提供に加え,サービス内容そのものの改善が求められる。しかし,従来の紙を中心とした行政プロセスにおいては,住民情報の収集および多様なサービス間でのデータ連携が困難であり,住民に望まれるサービスを適切に提供・評価するための仕組みが十分に構築されていない.
そこで,本研究では,高齢者・障害者の社会的孤立防止のための地域・福祉サービス連携システムの開発を目指して,産官学連携による地域・福祉サービス連携システムの構築のための検討を行った.
その結果,多くの自治体では,現行住民サービスの提供方法が担当部署ごとの縦割りになっていて利用者視点の設計がなされていない,サービス提供機関および利用者にとってもICT機器の導入・利用のハードルが高い,電子化による利用履歴分析による政策立案・評価に対する合意形成が課題であることが明らかとなった.
今後は,大学,自治体,企業,住民参加型のプラットフォーム構築と公共施策や技術開発との連携が必要であることが求められる.