表題番号:2022C-203 日付:2023/04/08
研究課題ジェンダーの視点から見た人間の塔に関する文化人類学的考察:女性のみでつくられる塔との比較から
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 竹中 宏子
研究成果概要
 本研究はカタルーニャの伝統文化である「人間の塔」を、女性の視点から再考するもので、文献調査と現地調査で進められた。文献調査から社会学的な女性メンバーの扱いや位置づけの歴史と現在を把握した。社会変化に伴い、カタルーニャ人間の塔機構(CCCC)および各チームの中で、女性の地位向上を促進する動きが始まっているが、聞き取り調査においては未だ問題が多い現状が明らかになった。本研究で主な対象チームとしたCastellers de Santsでは、カタルーニャで唯一、女性だけの塔を毎年建てていて、ジェンダー問題に関する窓口・委員会を設置し、総会でもオープンに議論し問題解決を図っている。ただし抜本的な意識の変革は難しく、普段のほんの些細な言葉にも、差別的な表現がはらんでいる事実が明らかになった。
 本研究を通して、未だ女性のエンパワメント推進途中であるが、人間の塔というカタルーニャの伝統文化全体の方向性を考察することができた。