表題番号:2022C-191 日付:2023/03/16
研究課題為替レート価格発見に対する積極的指値注文の役割
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 北村 能寛
研究成果概要

本研究の目的は、為替レート価格発見においてその役割が無視されてきた指値注文に注目し、その価格発見における役割を実証的に明らかにすることである。 


以下、3段階アプローチにて、情報トレーダーが利益最大化行動の結果として合理的に積極的指値注文を選択し、その結果、その情報トレーダーが保有する情報は積極的指値注文を介して発見されることを示した。

まず、1)指値注文の価格発見貢献度を分散分解により計測し、その中でも積極的指値注文の貢献度が極めて高いことを示す。これを受けて、2)情報イベント(失業率等のマクロ経済アナウンスメント、私的情報イベント)に対する、指値注文、成行注文の反応速度を高頻度データで分析する。そして、積極的指値注文による価格発見が超短時間(2秒ほど)で完結することを示す。3)この2秒間の間に成立した成行注文が、どれほどの利益を実現するかを計算する。また。この間における積極的指値注文の期待利益を売値と買値の差であるスプレッドから計算し、積極的指値注文の期待利益が成行注文のそれを上回ることを示す。ゆえに、利益最大化の結果、情報トレーダーが積極的指値注文を合理的に選択する。