表題番号:2022C-131
日付:2023/11/11
研究課題新奇カルベン配位子の開発と不活性結合の含フッ素官能基化反応
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 山口 潤一郎 |
- 研究成果概要
- 本研究では、超高電子供与性かつ嵩高い新奇N-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子をもつ金属触媒を開発する。開発した触媒を用いて、最高難度クロスカップリングである不活性結合のトリフルオロメチル化(CF3化)を目指す。具体的には、不活性結合に主に芳香環(Ar)C–NO2結合を選定、配位子はアブノーマルNHCであるイソインドリニリデン(IDy)とイソキノリニリデン(IQy)を合成を試みた。現状ではアブノーマル配位子の合成は達成できていないが、前駆体の合成に成功した。今後はここから金属触媒との錯体化の条件検討を行う予定である。ニトロ基の活性化に関しては、Pd/BrettPhos触媒存在下、アミノアセトニトリルをシアノ化剤に用いると、ニトロアレーンの脱ニトロ型シアノ化反応が進行することを見いだした。本反応は、金属シアノ化剤やハロアレーンを用いない新たなシアノ化反応である。興味深いことに、金属シアノ化剤を用いると目的の芳香族ニトリルの収率が低下した。本反応はヘテロ芳香環や医薬品誘導体などを含む、種々のニトロアレーンでシアノ化が進行した。また、本反応を用いた逐次的カップリングによる三成分連結にも成功した。