表題番号:2022C-129 日付:2023/09/05
研究課題宮城県白石市における地域包括ケアの展開に向けた人類学的実践研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 内藤 順子
研究成果概要

本研究は、宮城県白石におけるいわゆる医療崩壊が懸念される現状について、予防医療と地域包括ケアについての見通しを具体化して実践するための人類学的調査研究である。白石市では公立病院の赤字経営および民営化問題にともなう医師・医療従事者不足や、市全体の医師の高齢化・跡継ぎ不在問題をはじめとした医療崩壊の危機にあるといって過言ではない。平成26年以降は高齢化率が3割を超え、年々その割合は増え続けているのに比例して虚弱高齢者・要介護者も増えている。地域で医師を育てることや、病院再生は困難であるものの、現在ある資源によって可能な限り予防医療や包括ケアを行うことが重要である。そこで本研究ではその確立をどのように実現できるか、民間クリニックを中心にその道筋を探ることに着手した。
平成18年から白石市では地域ケアの取り組みを始めたものの、具体的実現には繋がることがなく、ファシリテーターとなる外部の力を必要としていたため、民間クリニックを拠点として、白石市地域包括支援センター、長寿課、民間病院等とも連携しながら、どのような地域ケア展開が可能であるかを具体的に検討し、諸資源をつなぎ、多角的に需要と供給のバランスをはかる人類学調査をもとに実践に繋げていくてはじめとして、講演会を開催した。問題意識の共有と方向性の確認ができたかに思われたが、官民の連携にはいくつかのハードルがあることも同時に明らかになった。