表題番号:2022C-036
日付:2024/11/13
研究課題映像メディアにおける「ジャンル」の分化についての歴史的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文化構想学部 | 准教授 | 石岡 良治 |
- 研究成果概要
- 映像メディアにおける「ジャンル」の分化は、受容者の期待と「画期作」の相互作用によって成立している。本研究は、アニメにおけるジャンル論を検討するための調査として、主として映画史におけるジャンル論を参照する形で進められた。特定の作品が時代を画するものとして認識されると、当該作品が続編などの「サイクル」を形成する傾向にあること、また、そうした作品のモチーフを借用した模倣作が引き続くこと、そして一定の蓄積を経ることで「サブジャンル」ないしは「ジャンル」の形成に至る、というダイナミズムを確認することができた。アニメにおける事例研究として、佐賀県の地域おこしと連動したアイドルアニメでありつつ、ゾンビのモチーフを絡め、地域の負の側面にも言及した『ゾンビランドサガ』(2018-)シリーズを検討し、さらには2020年代のアニメにおいて、コロナ禍の作用によって「アイドルアニメ」ジャンルが退潮気味であることを確認した。こうしたジャンルの変動は、流行とも連動しつつ、多種多様なカルチャーとの結節点として個別作品が成立していることを明らかにしており、さらなる検討課題も生じてきた。