表題番号:2022C-030 日付:2023/03/30
研究課題魏武注『孫子』の思想
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 渡邉 義浩
研究成果概要
曹操は、『孫子』の哲学性を支える黄老思想に沿った注を付ける一方で、『孫子』本文の主張と異なる内容の注も付け、また黄老という一つの思想により、『孫子』のすべてを把握することはない。魏晉期には、曹操の養子である何晏の『論語集解』や、何晏が高く評価した王弼の『老子注』のように、本文とは異なる自らの見解を述べる注が付けられていく。漢の訓詁学とは異なる魏晉期の注の付け方の先駆を曹操に見ることができる。曹操が著した『魏武注孫子』は、自らの軍事的な経験を背景としながらも、『孫子』の特徴に寄り添うことを原則とした注である。『孫子』が、長く『魏武注孫子』により読まれ続けた理由である。