表題番号:2021R-037 日付:2024/03/30
研究課題近世位牌の変遷・普及および階層性に関する考古学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 谷川 章雄
(連携研究者) 人間総合研究センター 招聘研究員 都築由理子
研究成果概要
 本研究の目的は、近世を対象にして、位牌の変遷・普及、階層性、漆塗り位牌の製作技法や製作工程のあり方と位牌の変遷・普及、階層性の関係を解明し、日本の死者供養の習俗における位牌の位置づけを明らかにすることである。従来の位牌の考古学的研究は低調であり、文化財科学的分析もほとんど行われてこなかった。
 本研究の内容は、以下の2点であった。①江戸遺跡出土位牌および伝世した寺位牌・内位牌の変遷・普及と階層性についての分析:江戸遺跡から出土した位牌を発掘調査報告書から集成し分析する。②文化財科学的手法による、漆塗り位牌の製作技法・製作工程の解明:製作に用いられる下地、顔料の材質や製作技法、製作工程を明らかにする。      
  ①については、位牌のあり方が、「近世墓の変遷」における17世紀後葉と18世紀前葉という画期、および都市の武家・町人、村落の農民に見られる「近世墓」の階層性との関係を明らかにした。
  ②については、位牌の型式、全長(高さ)、戒名、装飾の材質・技法には強い相関があり階層性を示す指標となることがわかった。