表題番号:2021R-002 日付:2022/03/27
研究課題戦国大名権力における意思決定過程の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 久保 健一郎
研究成果概要
 2021年度は島津氏や北条氏を素材として、おもに裁判における戦国大名権力の意思決定過程を検討した。裁判での案件処理を見ると、主従制の根幹に関わる問題には当主たる義久は関与せざるをえないが、そうでない問題にはできるだけ関わりたくないという姿勢である。ここでは島津氏の権力は当主―老中の二重構成であり、主従制にかかわる案件には主君義久の意思が表だって反映され、そうでない案件には老中の合議決定による処理が多くなっていることを知りえた。これは、裁判権の内容は権力のあり方に規定されて複雑であることを示唆し、整備された裁判機構を実現したとの評価もある北条氏なども、こうした視点から捉え直される見通しを得た。