表題番号:2021C-713 日付:2022/06/13
研究課題生後発達期大脳皮質神経回路形成を担う細胞基盤の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 花嶋 かりな
研究成果概要
近年の研究より発生期大脳皮質の神経回路形成を担う分子およびその作用機序が明らかになりつつある。一方で生後発達期において、個々のニューロンが遺伝子プログラムと感覚入力を統合し、モダリティ特異的な神経回路を構築するメカニズムについては、細胞レベルでの知見が乏しい。本研究では遺伝学的手法と1細胞解析を用い、大脳皮質の生後発達過程において、大脳皮質ニューロンの層特異的ニューロンが、生後発達期依存的に編成を示すことで、領域固有の回路形成機構が存在する可能性を見出した。これらの生後発達期の層特異的ニューロンの動態を生体イメージングにより可視化し、細胞内プログラムと外界からの入力を統合する細胞の動態を解析することで、生後早期における神経回路編成の細胞基盤が明らかになった。特に大脳皮質の前駆細胞から生み出されるニューロンの解析により、細胞移動から樹状突起形成までの過程を四次元的に捉え、これまで関連性が不明であった神経前駆細胞と生後発達期の領野特性の発現を直接的に検証することが可能となった。これら一連の解析により、大脳皮質ニューロンのダイナミクスと神経回路形成機構の一端が明らかになった。