表題番号:2021C-706 日付:2022/02/10
研究課題20世紀初頭のロシア文学における「男らしさ」と身体
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 安野 直
研究成果概要

本研究課題は、ロシア文学のなかで「男らしさ」が、いかにそれ以前のものから変容していったのかを、作品に描かれる身体に着目しながら明らかにするものであった。具体的には、男性学の理論的蓄積を援用することによって、当時の人気作家の具体的テクスト分析の双方をすすめた。

今年度は、レスリングを主題としたとされるアレクサンドル・クプリーンとニコライ・ブレシュコ=ブレシュコフスキーの諸作品を比較検討した。レスリングを通してあらわれる男性像は、フェミニズムにたいする、男性側からの反発がみられる一方で、男性身体の脆弱性の発露や脱異性愛的関係など、必ずしもバックラッシュの言説に還元しえない、男性性の変容がみられた。