表題番号:2021C-703 日付:2022/03/02
研究課題カントによる「美の分析論」の現象学的解釈
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 小林 信之
研究成果概要
カントの『判断力批判』の中核をなすと考えられる「美しいものの分析論」の諸契機をひとつひとつ丹念に解釈し、従来の所説を再検討することが本研究の課題であった。しかもそれを現象学の立場から吟味することが試みられた。フッサールにはじまる現象学的観点の特徴は、あくまで一人称的視点(現象的特性)を保持しながら、なんらかのかたちで(たとえば超越論的主観性によって)普遍的な哲学的議論の場を基礎づけようとするものである。このような立場は、カントが切りひらいた感性的なものの固有性の問題に接続するものと解釈することができる。本研究はこの点に着眼して、従来のカント解釈の問題点を洗い出そうと試みた。