表題番号:2021C-688 日付:2022/04/07
研究課題清朝とオスマン帝国:ムスリム・ネットワークの形成と近代化への模索
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等研究所 講師 海野 典子
研究成果概要
 今年度は、19世紀以前の清朝・オスマン帝国間の関係や相互認識を整理するとともに、19世紀後半以降、交通網や通信技術の発達を背景として、両帝国間のムスリム・ネットワークが形成された過程を調べた。具体的には、マッカ巡礼のためにイスタンブルを訪れた回民知識人、及び第34代オスマン帝国皇帝のアブデュルハミト2世の命で中国沿海部の経済・軍事状況を視察した官僚や軍人の旅行記を分析し、オスマン帝国が清朝との外交・通商関係構築を望み、回民を仲介役にしようとしていたこと、清朝がオスマン帝国の近代化に興味を抱きながらも、中国西北地域の回民やテュルク系ムスリムとオスマン帝国の接近に不信感を抱いていたことを明らかにした。