本研究では，ヒトの骨格筋線維タイプを非侵襲的に推定することを最終目的に，本年度はまず実験動物を用いた基礎的検討を行った．ヒト骨格筋線維タイプについては，1980年代に精力的に研究がなされ，骨格筋線維タイプと競技パフォーマンスに深い関連があることが認識されている．現在骨格筋線維タイプを測定するためには，対象者より筋生検によって骨格筋組織を取得し，免疫染色によって線維タイプを同定することが必要であるが，これは対象者の肉体的負担が大きいため，トップアスリートや，発育期の児童や高齢者に適応することは困難である．本研究では，骨格筋線維タイプを反映する体液中のバイオマーカー を確立することで，低侵襲で骨格筋線維タイプを推定する方法論の確立を目指す．まず，筋線維タイプの異なる実験動物を対象に，骨格筋を損傷させ，血液中に漏れ出す分子を網羅的に解析し，筋線維タイプと相関するバイオマーカーを複数同定した．