表題番号:2021C-628 日付:2022/02/17
研究課題ライブ・パフォーマンスで生じるクオリア(lineness)の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 野村 亮太
研究成果概要
オンライン配信では,ライブ・パフォーマンスで生じるいきいきしたクオリアとしてのライブ感(lineness)が喪失されることが指摘されている.通常オンライン配信では,観客同士が互いに作用を及ぼさないことおよび観客からの反応が演者には知り得ないことが喪失体験に影響すると考えられる.本研究では,前者の観客間の相互作用のみを独立して検討するために,VR空間内に寄席(舞台および客席)を再現したVR寄席を開発した.本年度は,古今亭文菊師に協力していただき,口演中の落語の映像を撮影し,VR寄席空間の高座に合成してシステムを完成させた.また,予備実験を通して,実験の参加者があたかも演芸場の座席から落語を鑑賞しているかのような体験を味わえることを確かめた.オンライン配信では,生公演にはあるライブ感を喪失してしまうが,本研究のシステムのように,視聴覚情報以外に周囲の観客の反応を付加することにより,その程度を減らすことができる可能性がある.