表題番号:2021C-573 日付:2022/04/07
研究課題心筋細胞ネットワークの集団効果の理解
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 助手 坂本 一史
研究成果概要

従来、心筋細胞の同期則に関しては、興奮伝導の観点から最も拍動の速い細胞が集団を支配するという概念が一般に信じられている。これを検証するため、自律拍動する心筋細胞を構成的に集団化させ、その同期化現象について細胞同士の結合前後で拍動周期の比較解析を行なった。結果は、同期後の集団の拍動は、従来の考えである「より速い拍動をする細胞」に追従しないだけでなく、集団を構成するどの心筋細胞の自律拍動よりも遅い周期で拍動することを見出した。我々の発見は、「集団化」は単なる細胞の加算・相加平均ではなく、新たな「集団」固有の法則性・状態を創発する機構であるという考え方を持つ必要性を示唆している。