表題番号:2021C-470 日付:2022/04/07
研究課題中近世の古面の成立に関する調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 川瀬 由照
研究成果概要
我が国の中世古面の制作状況についてはさほど明確になっていないため、これを明らかにするために中世の古面の制作目的等について考察を行った。栃木県日光山には室町期の優れた古面が数多く遺存し、中でも女面が多い。こうした理由について今回滝尾山に関連することと、同山における儀礼によるものではないかとの結論に至った。滝尾山は女峰山とも称され、田心姫命が祀られる。滝尾山に入峯する滝尾上人はみな法華経を奉納し、それ以外に法具などを奉納することもあった。代々の上人の中には女面を奉納する上人がおり、女峰山である滝尾権現として女面を制作、奉納儀礼を行うことによって田心姫命の感得を期待してのことではないかと考えられる。