表題番号:2021C-466 日付:2022/03/12
研究課題フリッシュとヒルデスハイマー ドイツ不条理演劇再考
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 山本 浩司
研究成果概要

ドイツの不条理演劇は亜流として切り捨てられることが多い。リアリズム偏重のドイツ戦後文学でも、不条理文学は言語実験と同様に、形式主義として傍流に置かれてきた。本研究では、ドイツ不条理劇を代表する二人の劇作家フリッシュ(『ドンファン、あるいは幾何学への愛』(1953)と『バイオグラフィー』(1967))とヒルデスハイマー(『パストラール、あるいはカカオのための時間』(1958)と『夜想曲』(1963))を再読し、その今日的な意義を見出すことを試みた。そして絶望とユーモアの絶妙なバランス、音楽的要素の取り込み、並行的な時間の手法などが、ベルンハルトやシンメルプフェニヒら後続の劇作家たちに着実に受け継がれていることが明らかになった。