表題番号:2021C-462 日付:2022/04/09
研究課題タルド社会学における芸術論の展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 准教授 池田 祥英
研究成果概要
本研究では、タルドの社会学における芸術論について、『未来史の断片』の記述を中心に検討した。太陽が冷却化して地表が凍り付き、生き残ったわずかな人類は地下に潜って、地上の外界から隔絶され、純粋に人間同士の関係だけからなる社会ができる。地下という限られた空間のなかで生活しなければならないため、厳しい人口抑制政策が取られることになり、優れた芸術作品を生み出した者にのみ子供を持つことが認められることになる。このストーリーにはタルドの模倣、発明、対立というプロセスによる社会学理論の影響が見られると同時に、地球全体に迫る危機を描いているという点で2021年時点の社会を考えるうえでも示唆的なものである。