表題番号:2021C-458 日付:2022/04/04
研究課題反復・同音語プライミング効果を用いた漢字熟語を読む際の処理経路の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 日野 泰志
研究成果概要
語を読む際には、書字・形態情報から、直接、意味情報が活性化される直接経路と書字・形態情報から、一旦、音韻情報が活性化され、音韻情報を介して意味情報が活性化される音韻媒介経路が仮定されている。本研究では、マスク下のプライムを伴う語彙判断課題遂行中の事象関連電位の測定を通して、私たちが漢字語を読む際に、主に、どちらの経路が機能しているのかという問題の再検討を試みた。刺激提示から 400ミリ秒経過後に観察される事象関連電位、N400の振幅は、語ペアに対して活性化された意味間の不一致性の程度に依存すると解釈されている。従って、語ペアに対して観察されたN400の振幅は、プライムとターゲットによって活性化された意味間の不一致性の程度を反映するものと思われる。実験の結果、同音語ペア(e.g., 講演-公園に対するN400の振幅は、関連なしペア(e.g., 合併-公園)に対する振幅とほぼ等しかった。この結果は、漢字語を読む際に、主に、直接経路を使った意味活性化がなされていたことを反映する可能性が高い。