表題番号:2021C-453 日付:2022/04/07
研究課題東日本大震災後の心の復興と記憶の継承―岩手県大槌町の震災遺族を中心として―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 講師 野坂 真
研究成果概要
東日本大震災の津波被災地を事例に、遺族の心の復興と記憶の継承がいかに両立可能か検討した。具体的には、岩手県大槌町に住んでいた家族・親族を亡くした遺族10名へインタビューを行った。多くの調査対象者は、1)防衛本能的に無感情となったり現実逃避する段階、2)悲しみや怒りなど負の感情があふれ出す段階、3)自己受容する段階、を経ていることが分かった。段階の移行のタイミングやきっかけは多様であること、各段階の狭間を揺らぎ続けている遺族も多いことも分かった。遺族は常に弱者でも強者でもなく、両者の間を揺らぎ続ける普通の人々であるという実態を記録し伝えることが、心の復興と記憶の継承を両立させる方法の1つと言える。