表題番号:2021C-449 日付:2022/02/02
研究課題J. G. フィヒテにおける「絶対我das absolute Ich」の考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 尾崎 賛美
研究成果概要
 2021年度特定課題において報告者は、ヨハン・ゴットリープ・フィヒテが『全知識学の基礎』(1794/95)で論じた「絶対我das absolute Ich」概念のもつ役割の再検討を研究目的とし、当該年度ではこの研究の一環としてフィヒテが同著作で論じる「障害Anstoß」概念を具体的な研究対象とした。かねてより「障害」概念は、自我の実践的活動を阻止する側面と自我の理論的活動を促す側面との二面をそなえることが指摘されてきた。それに対し報告者は、フィヒテが「障害」を、自我に対し何らかの対象物のごとく現前するのではなく、「自己自身を限局せよ」という課題をもたらすとして論じる点に着目し、こうした課題もまた二側面をもつとして検討することで、「障害」概念が自我との連関でもつ意義を改めて明らかにした。本研究は、日本哲学会第1回秋季大会(2021919日、オンライン開催)にて、「フィヒテ『全知識学の基礎』における「障害Anstoß」概念の再検討自我の理論的自己規定への契機として」と題し発表した。