表題番号:2021C-432 日付:2022/02/08
研究課題譲渡所得課税の趣旨としての清算課税説と通達による時価の評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 渡辺 徹也
研究成果概要
 本研究は、タキゲン事件最高裁判決(最高裁令和2年3月24日判決裁時1745号3頁)を中心的な題材として、所得税法59条1項にいう「その時における価額」と通達(所得税基本通達59-6および財産評価通達188)の関係について検討した。
 タキゲン事件において譲渡された株式の1株あたりの価額が、配当還元方式と類似業種比準方式とで差が大きすぎることが、問題の根幹にあるといえる 。
 通達の内容が適正な時価を反映していないと考えられる場合には、納税者が通達に拘束されずに時価を主張することが認められるべきである 。それは適正な時価が幾らであるかという評価の問題であり、そのような問題として捉えた場合、当該適正な時価までの含み益に課税することは、清算課税説に反するものではないと考えることが可能である。