表題番号:2021C-371 日付:2021/11/26
研究課題高等学校数学科における世界探究パラダイムによる探究活動の分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 成瀬 政光
研究成果概要
 本研究では教授人間学理論(ATD)にもとづいて提唱された学習過程「Study and Research Paths」(SRP)という枠組みにおいて授業実践を行った.特に,本研究では数学知識が目的づけられたということから生じる制約や条件を導き出すことを目的とする.
 本研究では高校2年生を対象にし,極限・微分係数・導関数の定義および諸公式・接線の方程式を想定とした目的づけられたSRP実践を行った.本研究において分析から得た考察は次の3点である:(1) 探究の初めや話題転換の際に目的づけられた数学知識を扱うために,問いが教師から与えられている.(2) 探究が進むにつれて,生徒の問いを取り上げている.(3) 微分係数や導関数の知識が接線を求める必要性から表出した.
 今後の課題として,(1) クラス全体のQ-Aマップと各グループのQ-Aマップを比較し,自らの問いがクラスで取り上げられなかった際に教授学的契約が働いているからを検討すること,(2) 生徒の問いの表出のあり方を理論的枠組みによって説明すること,(3) メディア・ミリューの往還について,数学知識が目的づけられていることから,生徒の使用するメディアに教授学的契約が生じるかを検討すること,が生じた.