表題番号:2021C-364 日付:2022/04/04
研究課題アンドレ・バザンのジャン・ルノワール論をめぐって
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 大原 宣久
研究成果概要

本研究ではフランスの映画批評家アンドレ・バザンのジャン・ルノワール論を中心に、彼の思想がもつ今日に至るまでの影響力の一端をあきらかにした。

周知のようにヌーヴェルヴァーグの精神的な父とも称されてきたバザンにとって、ジャン・ルノワールは特権的な存在であった。バザンはルノワールが俳優に説明的な台詞を語らせるよりも、彼らの表情や目を描くことに専心した点に賛辞を贈る。

こうした言説を濱口竜介は真摯に引き受け、自作で発展的に応用してみせた。バザンがルノワールの「目」の迫真性に注目するいっぽうで、「声」(台詞ではなく声そのもの)への言及が少ないことを指摘する濱口は、自作を「声」の質感で満たすのである。