表題番号:2021C-355 日付:2022/04/05
研究課題唐代の墓室壁画と伝世抄本から見た古代日本の墓室壁画と将来文献の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小林 岳
研究成果概要
  私は、拙著『後漢書劉昭注李賢注の研究』(汲古書院、2013年)の第7章第1節「李賢墓壁画に見える房氏と張氏」および「九条家旧蔵鈔本『後漢書』断簡と原本の日本将来について―李賢『後漢書注』の禁忌と解禁から見る―」(『中国学術の東アジア伝播と古代日本』所収、勉誠出版、2019)、「章懐太子李賢と李賢墓壁画」(『研究年誌』64号、早稲田大学高等学院、2020年)、「章懐太子李賢と兄弟姉妹および妃嬪三子」(『研究年誌』65号、早稲田大学高等学院、2021年)において章懐太子李賢墓の墓室壁画の分析を通じて高宗・武周・中宗・睿宗・玄宗期に至る時代(649~712)の権力闘争、社会風俗、国際関係について文献史料だけでは確認できない新情況を明らかにした。

  今次は、上記研究によって蓄積した唐代の出土資料(特に墓葬、墓誌、壁画など)および伝世抄本等の研究成果を用いて古代日本における墓室壁画、出土資料、将来文献などの比較・考察・将来情況などを考察することを目標とし、その研究基盤となる国内研究調査行として、

①古都飛鳥保存財団(高松塚壁画館・奈良県高市郡明日香村)の調査情報交換
②キトラ古墳壁画体験館 四神の館(奈良県高市郡明日香村))の調査情報交換
③奈良文化財研究所・京都大学人文科学研究所等に収蔵される唐代墓碑誌拓本および画像資料等の調査情報交換。 

を予定した。ただし残念ながらコロナ蔓延により研究調査行が思うように実施できなかったため、自宅および勤務先における収集資料の整理、データ化、論文執筆をおこなった。