表題番号:2021C-350 日付:2022/04/09
研究課題賭博場開張罪における賭博場の意義
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 川田 泰之
研究成果概要
大阪高判平29・2・9は、賭博場開張図利罪に関する大審院時代からの解釈を前提としてはいるが、本拠の存在を不要としている、あるいは本拠概念を拡張させて幅をもたせている点で、従来の判例の枠内に収まりきらない新たな判断を示している。何らかの追加的根拠を示す必要があったのではないか。

賭博場の存否を判断するにあたって、現行の賭博罪の条文を前提とするならば、罪刑法定主義の見地から、従来どおりの意味における本拠の存在を重視することには意義が認められる。そして、その本拠概念をいたずらに拡張させるべきでない。携帯電話機等を利用した賭博事案の処理に不都合が生じるならば、立法措置を講ずる他ない。