表題番号:2021C-317 日付:2025/05/12
研究課題低分子量GTPase Rho1によるPP2Aホスファターゼの制御機構
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 吉田 知史
研究成果概要

出芽酵母の低分子量Gタンパク質Rho1はヒトがん遺伝子RHOAの相同遺伝子であり細胞成長、細胞極性、ストレスシグナリングなど様々な細胞機能に必須の役割を持っている。それぞれの細胞機能には対応した個々のRho1標的タンパク質(エフェクター分子)が存在し個々のエフェクターの機能解析は活発に進められている。本研究では申請者が発見した細胞成長時に必須となるRho1の標的、PP2A-Cdc55ホスファターゼがどのようにして細胞壁の合成を促進するのかを明らかにしようとした。

我々はこれまでにPP2A-Cdc55Rho1の阻害因子であるRhoGAP Lrg1タンパク質の活性を低下させることを明らかにしている。そこでPP2Aがタンパク質脱リン酸化酵素であることからLrg1タンパク質がリン酸化により制御されている可能性を検討したもののLrg1がリン酸化されている強い証拠をえることはできなかった。

続いてLrg1と結合するタンパク質で、かつPP2Aによりリン酸化制御を受けるタンパク質の同定を試み、その候補としてPxl1タンパク質を同定することに成功した。遺伝学的な解析から我々はPxl1Lrg1が複合体を形成しその活性がPP2A-Cdc55による脱リン酸化で負の制御を受けるというモデルを立てており、今後Pxl1のリン酸化サイトを同定することでこの仮説の検証を進めたい。