表題番号:2021C-314 日付:2022/04/08
研究課題国際法における民主主義と権威主義の位置づけに関する基礎的考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 池島 大策
研究成果概要

 一般に国際法は、国内的に民主主義(的)であるか権威主義(的)であるかを直接問わず、特定の政治体制やイデオロギーを要求しないといわれる。こうした考え方に修正を迫る論者や流派が特に冷戦終結後、民主主義を標榜する政治的思考や価値観を反映させた国際的な統治体制や正統性を論じる傾向が現れ、今世紀に入ると国際法に民主化を要請し、民主的統治を本質と考える主張が増えた。この流れに対して、経済的台頭著しい中国の行動や、実力行使を辞さないロシアの動きが脚光を浴びている。それは、国家の存立や治安維持の上で、今世紀に入って権威主義的統治体制の効率性が注目され、第二次世界大戦後に構築された国連(憲章)中心の国際秩序を揺さぶり、民主主義の統治根拠を問い直す現象が出てきたからでもある。