表題番号:2021C-125 日付:2022/02/08
研究課題研究開発活動が企業価値に与える影響に対する非金銭的報酬制度のモデレータ効果の検証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 大学院経営管理研究科 教授 竹原 均
(連携研究者) 経営管理研究科 名誉教授 首藤 恵
研究成果概要
   本研究では, 企業の社会的責任(Corporate Social Responsibilityu, CSR)の一要素としての非金銭的報酬が, 人的資源管理と関連して企業価値に影響を与えるかどうか, また影響を与えるとすればどのような経路を介して企業価値に影響を与えるのかを実証的に分析した. 2006~2019年までをサンプル期間とした国内製造業に関する長期パネルデータを用いた回帰結果から, いくつかの重要な知見が得られた. 
   非金銭的報酬は, 単独でも従業員のイノベーションへの動機を高めるが, 同時に金銭的報酬と相乗的効果を生んでおり, 最終的に企業価値を上昇させる. その一方で, 非金銭的報酬など従業員モティベーション以外のCSR評価は, 技術競争力と企業価値との正の相関関係を弱める. 従って従業員と株主, 債権者など従業員以外のステークホルダー間で利益相反が生じるリスクが否定できない. このことは企業のイノベーション能力を企業価値にリンクするためにはテークホルダー・エンゲージメントが重要性であることを示唆している. その意味では, 企業の持続的発展のためのイノベーションを考える上で, CSR戦略と人的資本管理の整合性を図るべきである.