表題番号:2021C-108 日付:2022/04/03
研究課題フランス諸都市における都市化と住民組織の形成史—都市公共交通整備の問題を中心に—
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 國府 久郎
研究成果概要
 本研究ではフランスの都市化の過程において重要な役割を果たした、任意の住民組織である街区委員会の歴史的起源を調査し、こうした組織が形成されてきた地域の背景や社会的要因を明らかにすることを目的とする。フランスでは19世紀末から1930年代初頭までに、特に地方大都市において路面電車の路線網が整備され郊外化が進行した。こうした都市化の過程で、街区委員会のような住民組織が徐々に形成された。自分たちの街区の現実的な問題に直面したときか、他の街区が改善された状況を見たときに、住民たちは請願書を提出することから始め、次に公開集会を開催し、そして街区委員会を結成した。住民たちの要求は生活環境全般についてであったが、遠い郊外の街区に関しては路面電車の路線敷設の問題が、住民組織の形成がなされる主要な要因であった。マルセイユでは、1900年以降は街区委員会が普及し、連盟も結成させるまでに至ったのである。