表題番号:2021C-072 日付:2021/10/28
研究課題趙岐『孟子章句』における「人間観」の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 総合人文科学研究センター 助手 長谷川 隆一
研究成果概要
本研究は、後漢末期に生きた思想家趙岐が著した『孟子章句』の検討を通して、その人間観を考究したものである。趙岐『孟子章句』は、文書を章に分け句を区切ることにより、『孟子』の内容解説に専心したものであるが、その中には趙岐の解釈が含まれている。ゆえに本研究では、趙岐の独自解釈が現れていると思しい箇所を抽出し、人間観の検討を行った。その結果、趙岐『孟子章句』にみえる人間観は、基本的に性を善、情を悪とする性陽情陰説、性三品説、三命説など、後漢時代の常識の範疇に収まるものであった。ただし三命説は、従来の枠組みを改編したようすが見られ、命論全体としては、天の領分を縮小し、人の領分を拡大したことが明らかとなった。