表題番号:2021C-059 日付:2022/04/26
研究課題漢代儒教における説話の展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 渡邉 義浩
研究成果概要
孔子は、後世から聖人と仰がれるが、その生涯は不遇であった。弟子の顔回・子路、そして子の鯉に先立たれ、自説を受けいれる君主もなかった。戦国末の荀子は、「佹詩」を著し、孔子の不遇が時に遇わないためであったと主張した。そうした捉え方と天と人にはそれぞれの法則と秩序があり、両者は明確に別であるという「天人の分」との不整合については、理想的な有徳の聖人であれば、人の全体を統一的に支配しながら、他では代替のできない人としての独自の働きにより、世界における最も根源的かつ偉大な存在者である天と地の働きの中に、第三の存在として肩を並べることができるという三才思想によって、孔子の生涯を救済したのである。