表題番号:2021C-032 日付:2022/03/08
研究課題一定の外国人を最低生活保障制度から除外する規定の憲法適合性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 山本 響子
研究成果概要
 ドイツでは2016年に、就学児を連れて移民労働者としてEU構成国へ入国した者であって、その後失業したEU市民を、一般的な公的扶助制度の対象としない旨の規定が置かれた。2020年10月の欧州司法裁判所が当該規定をEU法違反であると判示し、2020年末の改正により当該規定は削除された。
 当該規定の問題は、子の世話をする移民労働者である親が失業した場合に公的扶助受給権から除外する国内制度が、EU法上認められている、移民の子の移民先における教育へのアクセスの保障を空洞化させる点にある。この事例では、当初検討予定であった憲法上の権利ではなく、EU法上の法的利益が問題となっているが、最低生活を保障することが他の権利等の保護を実質化するための前提条件となる点が明らかになったという意味で、本来の研究目的は達成されている。