表題番号:2020R-006 日付:2021/05/07
研究課題デリダにおける主権の脱構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 藤本 一勇
研究成果概要

課題について、デリダ初期の「現前性の形而上学」批判の文脈において、「存在−神−目的論」の構造が、知による世界掌握という主権性に立脚し、そうした絶対的主権(現世的な権力を超えた力)を目指すメカニズムであることを確認した。そのうえでこの哲学に内在する主権が、同時にどのように現実的・具体的な政治や社会や文化に関わっているかを、中期から後期にかけてのさまざまなテクスト(『ゲシュレヒト』シリーズ、『マルクスの亡霊たち』、『友愛のポリティックス』、『ならずもの』等々)との関連で検証した。結論として、デリダの脱構築の企ては一貫して、超越論的/経験的の両面における主権の脱構築の試みであったと言える。