表題番号:2020C-679
日付:2021/04/09
研究課題 地球温暖化問題における割引率と国際環境協定に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 赤尾 健一 |
- 研究成果概要
本研究は、地球温暖化交渉を非対称微分ゲームとして定式化し、その合意を payoff-dominant 均衡とみなして、その性質を調べることを課題としている。対象とする戦略空間として stationary Markov strategy のそれと open-loop strategy のそれの2つを考える。ここ数年にわたる本研究の一部として、本年度は汚染制御の無限計画期間割引LQモデルについて次のような研究を行った。 (1) 各プレーヤーの最適制御問題が解をもつための条件の検討。その派生的結果として標準的なラムゼーモデルの解の存在証明(Akao, Kamihigashi, Ishii, and Nishimura, forthcoming)。(2) Open-loop Nash 均衡の一意性の証明。(3) 割引モデルの割引のないモデルへの変換と対応する Coupled Algebraic Riccati の分析。(4) 非線形 Markov Nash 均衡の数値分析。解析的な分析のための予備的研究。(5) 同Markov Nash 均衡の完全化。 (6) Open-loop及びMarkov (perfect) Nash 均衡の厚生評価。非対称均衡に対しては協力解(効率的な解)がパレートフロンティアで表現され一意的ではなくなることから、どのような評価が可能かを検討した。