表題番号:2020C-673 日付:2021/03/31
研究課題1930年代における対中経済外交
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 助手 矢野 真太郎
研究成果概要
本課題では、日本側史料のみならず中国側史料(特に国史館所蔵「蔣中正総統文物」)を調査し、1930年代日本による対中経済外交の実態を分析した。特に1935年初頭に日中「経済提携」が盛んに議論されるようになってから、華北分離工作を経て、盧溝橋事件に至るまでの期間を中心に考察した。1936年以降の外務省と陸軍がともに国民政府の存在を否定しなかったものの、華北分離に寄与する「経済提携」を進めようとしたこと、及び華北分離工作後の中国側に日本の「和平派」と交渉して「経済提携」を実現することで、「強硬派」を抑える構想があったが、外務省が中国主導の「経済提携」に警戒したために、中国側の狙いは実現しなかったことを明らかにした。