表題番号:2020C-668 日付:2021/04/03
研究課題国際経済法における無差別原則の変容と法解釈論の再構成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 講師 平見 健太
研究成果概要
平等規範の構造とその特質を把握することを通じて、既存の解釈論的枠組の構造とその問題点を可視化することができた。特に国際経済法の文脈においては、各種の無差別原則を解釈するに際して、(1)同種性の有無の評価、(2)同種の対象間における不利益効果の有無の評価、最恵国待遇原則に関してはこれら要素に加えて(3)無条件性要件への該当性評価が共通して問題となってきており、これら各要素の評価基準や要素同士の関係性の捉え方如何が、無差別原則運用の鍵をなしていることを明らかにした。また、国際経済法上広く普及している「無差別原則=競争条件の平準化」という固定観念が、上記各要素の評価の在り方に及ぼす影響についても、一定程度明らかにすることができた。その結果、国際判例を通じて発展してきた無差別原則に関する既存の解釈論的枠組が、上述の固定観念によっていかに支えられているのか、またこうした解釈論が国家の規制裁量の確保という現代的な要請に直面することでいかに相対化されうるのか、今後の検討の道筋を発見することができた。