表題番号:2020C-637 日付:2021/04/05
研究課題液晶界面の異常低摩擦の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 多辺 由佳
研究成果概要
ネマチック液晶を等方相との共存温度下におくと,液体相中に液晶滴が分散する。この液晶滴にトルクを印加して定常回転させたとき,外力と粘性抵抗のつり合いで角速度が決まる。我々は,この実験で見積もられる粘性率が,一般実験で測定した液体相の粘性係数に比べ,桁違いに小さいことを見出した。トレーサー粒子追跡法で回転滴周囲の速度場を調べたところ,滴表面から数ミクロン離れる位置では回転流が観測されなかった。この結果は,液晶相と液体相が接する界面では一般的なnon-slip条件が成立しないことを示唆する。液体―液晶共存界面の動的性質はこれまで調べられておらず,ソフト界面の特異性が注目される。