表題番号:2020C-573 日付:2021/02/07
研究課題嶽麓書院蔵秦簡の基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 准教授 柿沼 陽平
研究成果概要

中国古代史研究者にとって、近年陸続と公開されている出土文字資料の存在は無視できない。なかでも岳麓書院蔵秦簡は、秦の始皇帝期の史料として注目される。申請者は中国古代貨幣経済史研究者として、岳麓書院蔵秦簡中の裁判文書、とくに貨幣史関連の法律条文(金布律)の逐条的解読を試みた。また学術論文を発表した。従来、中国古代経済史といえば、貨幣経済か物々交換経済か自給自足経済かが大きな争点となってきたが、伝世文献と出土文字資料をみるとじつは贈与交換の例がきわめて多い。しかも、どのような状況でなにを贈るのかは暗黙のルールで決まっていた。そこで当時贈与交換の慣行が遍在していたとし、賄賂との境界線を闡明した。