表題番号:2020C-570 日付:2021/04/09
研究課題中国南宋以降彫像におけるわが国中近世の仏像への影響に関する調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 川瀬 由照
研究成果概要
南宋以降の彫像がわが国の仏像に及ぼした影響と、鎌倉期以降の彫像製作における中国彫像の受容について考察した。北宋・南宋時代の彫刻は猫背の姿勢が特徴で背面の肉取りは単純な面構成で造形される。面貌では所謂のっぺりとした表現で、長瀧寺韋駄天像にみる長い眉や切れ長の目や太い鼻梁の鼻もその特徴である。鎌倉大仏に代表される宋風の影響が強いとされる仏像にはこうした表現がみられるが、忠実な再現ではなく、のっぺりとした面貌にはしない。慶派の仏像にみる理知的な彫像の影響もあり、取捨選択された中国風彫像が院派仏師によって完成され、近世に至るまで院派風の作風がわが国の仏像様式の一典型として存在した可能性も考えられる。