表題番号:2020C-565 日付:2021/01/19
研究課題語の形態-意味間の対応関係における一貫性効果の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 日野 泰志
研究成果概要
 実験参加者に刺激ペアに対する関連あり・なし判断を求める関連性判断課題を使って、ターゲット語の形態-意味対応の一貫性効果の観察を試みた。語の形態-意味対応の一貫性とは、ある語の形態類似語が類似の意味を共有する程度を反映した変数である。実験では、行動データばかりでなく事象関連電位においても一貫性効果の観察を試みた。その結果、行動データには有意な一貫性効果は観察されなかったものの、事象関連電位のN400の振幅に有意な一貫性効果が観察された。同様の効果は、昨年度実施した語彙判断課題においても観察されたが、課題間で効果の頭皮上分布に差異が認められた。これらの結果から、語の意味活性化プロセスにおいては、形態類似語の意味も活性化し、活性化された意味間の不一致性の評価を介して最終的は語の意味が選択されるという処理が介在すると共に、このプロセス、特に、活性化された意味間の不一致性の評価を介した意味選択のプロセスは、課題遂行のための方略の影響を受ける可能性が高いものと思われる。