表題番号:2020C-563 日付:2022/04/08
研究課題エスニック文化による社会的境界構築の機能-音楽文化としてのジャズに着目して
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 樽本 英樹
研究成果概要
ジャズは黒人文化と見なされつつ、その展開を白人系など他のエスニック集団に依存してきた。例えば、モードジャズへの展開には白人系ピアニスト、ビル・エヴァンズが貢献した。またボサノヴァとの融合には、ジョアン・ジルベルトと共に白人系サクソフォーン奏者、スタン・ゲッツが寄与した。にもかかわらず、なぜジャズは黒人文化と見なされ続けているのだろうか。以下の仮説が立てられた。第1に、ジャズの発祥神話は、黒人文化という認識を強固にしている。第2に、アフリカ系の抵抗の文化としてジャズは捉えられてきた。第3に、「ブルーノート」が19世紀半ばの黒人奴隷を出自とする。今後、これらの仮説の検討と検証を行う必要がある。