表題番号:2020C-562
日付:2021/02/14
研究課題ジャン・フロワサールの『年代記』における歴史記述の特徴について
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 文学学術院 文化構想学部 | 助手 | 竹田 千穂 |
- 研究成果概要
本研究は、ジャン・フロワサールの『年代記』の記述の一部におけるフィクション的要素の強い潤色や歪曲に注目し、当時の社会背景の中で分析し著者の意図を明らかにすることを目的とした。第三巻に記録された「フォワ伯の封臣コアラズの殿と、この領主に世界中でおこる出来事を知らせた目に見えぬ使者オートン」という不可思議な逸話に主眼を置き、フォア伯領と周辺の政治状況、情報収集に熱心なフォワ伯と、ベアルン地方の「商業の道」の存在を手掛かりに、「目に見えぬ使者」が象徴するフォワ伯領の情報収集の担い手を商いに携わる者と結び付け、当時の政治に絡んだ情報収集と、それを記す著者の社会的立場や表現方法について考察を行った。