表題番号:2020C-561 日付:2021/04/08
研究課題「新感覚派」における映画受容の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 友添 太貴
研究成果概要
本研究では、1920年代欧米の前衛芸術の影響下に出発した文学グループ「新感覚派」における映画受容の問題を分析した。とりわけ本研究では、新感覚派映画聯盟の活動とそこで製作された映画「狂つた一頁」に焦点をあて研究を行なった。これまでにも「狂つた一頁」については、その脚本からの分析をはじめ多くの先行研究が存在した。しかしそれらの研究では、今日的に名声を獲得している横光利一・川端康成らの功績ばかりに注目が向けられ、実際中心的な役割を果たしていた片岡鉄兵の功績がこれまで無視され続けてきた。とりわけ、片岡鉄兵は「狂つた一頁」が公開された当初、小説家としての活動に合わせて、旺盛に映画評論を発表しており、片岡はその映画評論の活動を通じて自身の映画観を醸成し、実作である「狂つた一頁」に応用していた。本研究では、片岡の映画評論の網羅的な調査を行い、その資料の分析結果を公表に向けて現在準備中である。