表題番号:2020C-528 日付:2021/04/08
研究課題確率構造が未知の乱数生成問題に対する情報スペクトル的アプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 教授 野村 亮
研究成果概要
本研究は情報理論で近年発展している情報スペクトル理論を様々な問題に適用することを目標としたものである.特に,2020年度は確率構造が未知の状況における乱数生成問題を対象とした.情報理論における代表的な乱数生成問題としては,任意の与えられた確率分布を一様乱数を用いて近似する問題(RESOLVABILITY問題)および,一様乱数から任意の確率分布を近似する問題(INTRINSIC RANDOMNESS問題)の二つがある.いずれの問題においても重要な指標は,確率分布の近似尺度と一様乱数のサイズである.確率分布の近似尺度としては従来変動距離やKullback-Leibler距離などがあるが本研究ではこれをより一般的なf-ダイバージェンスまで拡張し,その上で,目的とする確率分布と作成した確率分布の間のf-ダイバージェンスが一定値以下になるもとでの一様乱数サイズについて分析することが目標となる.2020年度はResolvability問題における最適一様乱数サイズについて,従来得られている表現と異なる数量で評価できることが分かった.また同様の考えをIntrinsic Randomness問題に対して適用可能であることも分かった.今後この研究を発展させて確率構造が未知のIntrinsic Randomness問題について調査する.