表題番号:2020C-474 日付:2021/11/15
研究課題ルソーのギュスターヴ・フロベール対する影響―ルソーの教育論を中心に―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 中野 茂
研究成果概要
 本研究では、近代小説を完成させたフロベールの代表作『ボヴァリー夫人』(1857)におけるルソーの教育論『エミール』(1762)の影響の射程の解明を行った。
 フロベールが『ボヴァリー夫人』執筆中に『エミール』を精読していたこともあり、子どもは乳母に預けることなく母親が育てるべきだという『エミール』の中で展開されるルソーの教育思想は、『ボヴァリー夫人』の決定稿や下書き原稿中で幾度も言及されている。その意味で、ボヴァリー夫妻の子どもの乳母への預け入れの場面は、フロベールの小説とルソーの教育思想が交差する場面と言っても過言ではない。それゆえ、本研究では『エミール』の影響を色濃く受けた乳母のシーンの分析を試みた。