表題番号:2020C-426 日付:2021/06/14
研究課題発がん遺伝子RhoのGTPase活性はなぜ必須なのか?
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 准教授 吉田 知史
研究成果概要

Rho GTPaseGTPと結合することによって活性化し何種類もの下流の標的タンパク質を活性化する。しかし細胞内外からの刺激により活性化したRhoは多種類の標的分子を全て均等に活性化するのではなく、刺激(入力シグナル)の種類に応じて特定の標的(出力シグナル)のみを選択的に活性化する。入力シグナルはRhoを活性化すると同時に出力シグナル経路を規定していると予想されるがその分子機構はよくわかっていない。本研究ではGTPを加水分解できないRho1-G19V, Rho1-Q68L変異体を作成し酵母細胞内でその機能を解析し、Rho1-G19V, Rho1-Q68Lは試験管内では下流の標的因子を強く活性化するにもかかわらず細胞内では機能できないことを明らかにした。この発見は主要な発癌遺伝子であるRhoA GTPaseの阻害剤の開発が可能であることを証明するものであり,RhoAGTPase活性阻害薬の有効性が実証できれば新しい癌治療法へのアプローチとして大きな貢献となることが期待される。