表題番号:2020C-372 日付:2021/04/08
研究課題Inka2によるシナプス形成制御のメカニズム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 榊原 伸一
研究成果概要
ヒトを含め哺乳類の神経幹細胞は発生期~成体期まで継続的に脳内に維持され,放射状細胞突起や多分化能を特徴とする。一方,神経幹細胞から産生される増殖性 のニューロン・グリア前駆細胞は系譜がより制限されるが,目的の部位に向かう高い遊走能を持ち,神経発生過程だけでなく,神経変性病態での髄鞘再形成など 脳機能再生の観点からも重要な細胞である。しかし神経前駆細胞(NSPC)の形態維持や遊走メカニズムの分子的基盤には未解明な部分が多い。我々が神経系前駆細胞に発現する新規遺伝子として同定したinka2 Inkaドメイン(神経堤細胞の移動に機能すると考えられているInka1と類似の機能不明ドメイン)を持ち、細胞移動などに関与することが推定される。inka2 KOマウスを作製し大脳皮質のシナプス構築を各発達時期でゴルジ染色を行い解析した結果、ニューロン、特に大脳皮質V層錐体細胞の樹状突起スパインの形態、密度の低下、異常シナプスの増加が出生後早期から見られた。